米中首脳が電話協議 新型コロナ対策で「団結」
【北京=羽田野主、ワシントン=永沢毅】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は27日、トランプ米大統領と電話協議した。習氏は「中米は団結して新型コロナウイルスの対応に当たるべきだ」と強調し、連携を訴えた。トランプ氏も「米中関係を妨害するものは私が自ら取り除く」と述べた。米中関係はウイルスの発生源をめぐり非難の応酬が続いており、両首脳で関係の修復を確認した形だ。
中国外務省が発表した。トランプ氏はツイッターに「習氏ととてもいい協議ができた。中国はウイルスをかなり深く理解している」と書き込み、中国の対応をほめたたえてみせた。
習氏は「マクロ経済政策の協調を強めて市場を安定させて、世界のサプライチェーン(供給網)の安全を確保したい」と述べた。「米国にウイルスの情報提供と防疫の経験を分かち合うのを少しも保留しない」と強調した。「中米関係はいままさに正念場にある」とも語った。
中国側の発表によると、トランプ氏は中国の防疫対策について詳しく尋ねる場面があったという。「中国の経験は私にとってとても示唆に富んでいる」と話したとしている。
両首脳の電話協議は2月7日以来。この間に米中関係は悪化していた。中国外務省の趙立堅副報道局長はツイッターで根拠を示さないまま「米軍が感染症を湖北省武漢市に持ち込んだのかもしれない」と書き込み、ポンペオ米国務長官が「武漢ウイルス」と反発するなど米中で非難合戦がつづいていた。
だが米国の新型コロナの感染者数はすでに中国を上回り最多となった。株式市場が不安定になり景気の減速懸念も強まっている。トランプ氏は連携の強化に前向きな考えを強調しており、今回の電話協議は両首脳の関係改善に向けたすり合わせの意味合いが大きい。
中国はトランプ政権が新型コロナの対応に手間取っていると国営メディアを通じて細かく伝えている。27日の中国共産党の機関紙、人民日報も「米国の新型コロナを巡る状況は日々悪化している」と題する記事を掲載した。これまで中国が89カ国に支援したとも強調し、中国共産党の指導の優位性を国内に宣伝している。
中国外務省によると、今回の電話協議はトランプ氏の要請に応じたとしている。