セプテーニが見据える、TVerと広告の未来
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動画配信サービスの市場が大きく広がるなか、配信サービスプラットフォーム上の動画広告が脚光を浴びている。この1年で再生数やユーザー数が倍に増えた民放公式テレビ配信サービスのTVerで配信する動画広告もその一つ。テレビ放送の見逃し配信を軸にした完全無料のサービスで、地上波放送とのリアルタイム配信もまもなく始まり、動画広告の場としての注目度も上がっている。デジタル広告事業を手掛け、ブランディング領域で存在感が増すセプテーニ代表取締役の神埜雄一氏とTVer取締役の蜷川新治郎氏が、動画配信サービスの進化と動画広告が注目される理由、ブランドセーフティーの問題など、動画広告の今後の展望とTVerのもつ可能性について語り合った。
ステイホーム機に大きな成長
――動画配信の利用が新型コロナウイルス禍で急速に広がっています。市場の動向をどうご覧になっていますか。
神埜 ここ数年大きく成長してきています。先日電通グループ4社が発表した「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」では、デジタル広告費2.7兆円のうち、動画広告費は5000億円を突破し、その割合も24%弱となりました。実際お客様と話していると、動画広告でサービスや商品を告知したいという需要はとても増えていて、動画の活用はますます進んできていると実感します。特にコロナ禍になってから、デジタル活用もしくはDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈で、もう一段増えてきている印象はあります。
蜷川 マス広告のニーズはあり続けると思います。またデジタル上ではセグメントが得意な半面、マスに向けた施策が実現しづらい部分もあるため、テレビが重用されています。そこで、マス広告のニーズを、いかにして適切にデジタルにつないで補完・補強していくのか。われわれTVerはテレビに一番近いポジションにいるので、広告主様、広告会社様に満足していただけるきちんとした商品をつくっていきたい。それが命題かと思っています。
――広告の市場の中で、動画の持つ存在感、ニーズの変化についてどのように見ていますか?
神埜 動画のコンテンツや広告は、この数年で一気に一般化してきたと強く感じます。われわれテレビ世代の感覚では、動画は一部のプロの世界の人が撮って流すものでした。次第にインスタントカメラ、続いてガラケーやデジカメが出てきて、撮ったものをその場で見られるようになりました。そしてスマホが出てきて動画をソーシャルで共有するなど、ユーザーが動画を撮影、閲覧する環境が当たり前になりました。広告に関しても、その状況に合わせた上で出稿していくことが必要になっています。
蜷川 広告主様のニーズの多様化に、どのように追いついていくのかということが我々配信プラットフォームの課題です。そこが実現できる土壌は、自分たちで集めたファーストパーティーデータを持っていること。この資産を持って、多種多様な広告主様や広告会社様のニーズに応えていくことだと思っています。
リビングルームデバイスが主戦場
――その中で、動画広告に広告主が求める効果、あるいは優位はどういうものがありますか?
蜷川 ちょっと先の話になりますけど、これからはコネクテッドTVみたいなリビングルームデバイスがTVerの一つの主戦場になっていくと思います。TVerには、もともとテレビ番組として作られたコンテンツがそろっていますので、特にTVデバイスとの相性が良いコンテンツが多い。このリビングルームデバイスでの広告手法がポイントにもなってくるように思えます。
――このあたりの増加、コンテンツそのものの伸びに含めて、動画広告の現況はどうなっているのでしょうか。
神埜 弊社の広告配信実績において、TVer広告配信後にブランドリフトアップの調査を行うと、サービス認知や理解率が高くなる傾向が見られます。
これはまだ仮説なのですが。例えば、デジタル広告はメニューによっては広告の視聴をスキップすることができます。一方TVerでは、コネクテッドTVがまさにそうですが、コンテンツから広告に掲載が切り替わっても見続ける人が多いのではないでしょうか。コンテンツの間に広告が入るというのもありますし、その点で他のデジタル広告とは少し異なるユーザーとの向き合い方が必要になりそうです。
蜷川さんにお伺いしたいのですが、TVerはこれまでスマホでの視聴比率が高かったと思うのですが、最近はコネクテッドTVにシフトしてきているのでしょうか?
蜷川 そうですね、これはどんどん増えてきていて。もう4分の1ぐらいにほぼなろうとしています。僕らは個々のコンテンツは1週間しか見せません。そこを逆手にとっていくと、例えばTwitterやLINEなどでユーザーからレコメンドされた瞬間、今誰かが体験したものがそこにある、多くの人がより多く体験しているというところが、他の動画配信サービスとの大きな違いになります。
神埜 ブランドセーフティーの観点もあり、リビングで見られるような媒体というのは、一般消費財やサービスを扱っている広告主様からすると、とても出稿しやすいのだと思います。コンテンツのクオリティーも高く、しっかりした審査も経ているとなれば、それは安心感につながります。またTVerはテレビと違って、この時間しか見られないというのではなくて、都度見ることができる。これは大きな強みですね。
セプテーニでもこの市場の動きに対し、スピード感を持って対応するため、昨年よりコネクテッドTVへの取り組みに注力しています。具体的には、「CTV LABO」という部門横断の研究チームを設立しました。このLABOでは、コネクテッドTVに関する施策提案から実行はもちろんのこと、ケーパビリティ開発、配信実績の分析、クリエイティブ分析など、多方面で総合的な研究を行っています。
リアルタイム配信開始で広がるライブ感、新たな強みに
―――TVerではテレビとのリアルタイム配信開始が始まります。どんな変化が起きるでしょうか?
蜷川 今、これリアルタイムで配信やってますよって、SNSで伝えたら、その場で一緒に体験できて、すぐ巻き戻して見られて。で、少したってから見ようと思ったら、後で見るとストップしておけば、2~3日の間に見て、みんなの話題に追いつける。そういう世界ですね。ちょっとずつ今を体験してもらう、外出時でも、どうしても今体験しなきゃいけない。そんな形へと、もう1回番組のつくり方が変わるきっかけになるかもしれません。
神埜 テレビでは、例えばスポーツとニュースや、また生放送のようなバラエティー×デジタルなどはとても相性が良い。この組み合わせが、おそらくTVerなら可能なのではないでしょうか。広告会社視点では、データをアプリでもコネクテッドTVでも取得できると、セグメントの仕方やプランニングの仕方も変わってくるので、このあたりがすごく楽しみです。
蜷川 お金を払っていないと見られないとか、登録しないと見られないというよりは、誰しもが触れる、知っているコンテンツがあるところが僕らの強みだと思います。より多くの方に知っていただいて、より多くの方にサービスを使っていただきたいとか、より多くの方へ普及したいということのブランディングにおいては、やはりわれわれは非常に強みがあります。そこをとにかく1度体験していただきたいですね。僕らは多様化していく人たちが見る、同じ北極星みたいなものになりたい。そう願っています。
神埜 雄一氏(こうの・ゆういち) 2006年セプテーニに入社。2018年に株式会社セプテーニ代表取締役就任(現職)。2022年よりセプテーニグループ上席執行役員就任(現職)。また同年より、株式会社電通ダイレクト、株式会社電通プロモーションエグゼ、電通クリエイティブキューブの取締役を兼務。
蜷川 新治郎氏(にながわ・しんじろう) 1994年株式会社日本経済新聞社入社。2008年株式会社テレビ東京入社。2013年株式会社テレビ東京コミュニケーションズ取締役就任。2020年より現職で、株式会社TVer取締役事業本部長にて事業戦略およびサービス企画開発の責任者。
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