新型肺炎、一般病床で入院可能に 流行備え厚労省通知
厚生労働省は11日までに、新型コロナウイルスの感染者について専用設備のある「感染症病床」以外の一般病床での入院も認めるとの通知を出した。感染症病床は全国に約1800床しかなく、国内で流行した場合、入院先が不足する事態が懸念されていた。クルーズ船の集団感染のほか、今後、国内で感染者が急増する事態に備えるため、医療提供体制を整える。
一方、同省は感染が強く疑われる場合は、国の検査基準に該当しなくても自治体の判断で柔軟にウイルス検査するよう求める通知も出した。現在は中国湖北省に滞在歴がある人や、その濃厚接触者に検査対象を限定しているが弾力的な運用を求め、検査の網を広げる。
同省担当者は「現在は国内で流行している状況にないが、先行して医療体制や検査体制を拡充する」と説明している。
全国の指定医療機関にある感染症病床は、ウイルスが室外に漏れないように気圧を下げた「陰圧室」になっている。通知では「緊急その他やむをえない場合」は、感染症病床以外や指定医療機関以外に入院させることも可能とした。
対象として、個室で患者を管理でき、マスクやゴーグルなど院内感染を防ぐ器具を確保できている施設を想定。感染者同士なら相部屋とすることもできるとしている。
国内では、感染者の確認が相次いでいる。横浜港で検疫中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では感染者が135人となった。11日には、政府のチャーター機で帰国した邦人男性2人が陽性となったことを新たに確認したと厚労省が発表。国内の感染確認はクルーズ船を除くと28人となった。
同省によると、11日に新たに陽性が確認されたのは第1便で帰国した50代男性と第2便の40代男性。いずれも帰国直後に検査を受け、当時は陰性の判定だった。
50代男性はその後千葉県内のホテルに滞在。2月7日になって発熱やせきが出たため入院していた。40代男性は子供連れで帰国し、最初の検査後に埼玉県の自宅で待機していた。2月8日に発熱、10日に同県の医療機関を受診した。厚労省は家族らに感染の恐れがないか調査する。
チャーター機による帰国者を巡っては、厚労省は11日、第1便で帰国後に陰性が確認され、症状が出ないまま千葉県のホテルなどに滞在している197人の再検査を始めた。陰性であれば12日以降に帰宅する見通し。
検査数が急増していることを受け、厚労省は民間の病院や検査機関にもウイルス検査の協力を要請した。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?