台湾、10月の輸出額 新型iPhone効果で過去最高
【台北=中村裕】台湾の財政部(財政省)は9日、10月の輸出額が前年同月比11.2%増の322億ドル(約3兆3350億円)になったと発表した。単月として過去最高を記録した。新型iPhoneの生産が本格化し、関連部品の受注が多いIT(情報技術)企業を中心に輸出が伸びた。
輸出は4カ月連続で前年実績を上回った。財政部の蔡美娜・統計処長は9日の記者会見で「10月実績は、予想をはるかに超えた」と説明した。好調の要因に「(発売が遅れた新型iPhoneの)スマホの発売が始まったことや、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、テレワークに使うIT製品に強い需要をもたらした」ことをあげた。
蔡氏は11月の輸出を「(前年同月比)5~8%増」と予想した。
10月の輸出の内訳は、半導体が全体の36%を占め、前年同月比22%増の117億ドル。10月発売の新型iPhone向けや、中国勢のスマホ向けの半導体が好調だった。新型コロナの感染拡大が止まらず、テレワークやオンライン授業が一段と普及し、パソコンやサーバーなどの製品も21%増の46億ドルと好調だった。
輸出先をみると中国大陸(香港含む)が17%増の141億ドルで圧倒し、全体の44%を占めた。中国経済の回復で、これまで低迷していた自動車などに使うプラスチックや関連部品の輸出も増えてきた。米国向けも好調で21%増の48億ドルだった。
台湾の輸出は8~9月も過去最高の水準だった。9月中旬まで、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)向けの半導体輸出が膨らんだ。ファーウェイが米制裁強化を前に、在庫確保を急ぎ、台湾企業に半導体を大量発注したためだ。
10月にはその特需が消え、輸出の鈍化が予想されていた。だが、新型iPhoneの本格生産や中国経済の回復で、輸出はむしろ上向いた。
関連企業・業界