独VW、中国と米欧で生産抑制 半導体足りず
【フランクフルト=深尾幸生】独フォルクスワーゲン(VW)は18日、半導体の不足で中国と北米、欧州の自動車生産を調整すると発表した。2021年1~3月期に傘下の複数のブランドの車種が影響を受ける。新型コロナウイルスで落ち込んだ新車販売が想定以上に回復したため需要に見合うだけの半導体を確保できなくなったためとしている。
「MQB」と呼ぶ共通の基本設計を採用している車種に幅広く使われる半導体の調達が滞っている。VW乗用車ブランドのほか、シュコダ(チェコ)、セアト(スペイン)などのブランドの複数の車種の生産を一時的に減らす。独アウディも一部影響を受ける。VWは具体的な台数を明らかにしておらず、影響を最小限に抑えるために対策を検討している。
VWは春のロックダウンで自動車の需要が落ち込んだのに合わせて、半導体メーカーへの発注量を絞った。だが、中国を中心に市場の回復が想定以上だった。半導体メーカーは自社生産ではなく半導体受託生産会社(ファウンドリー)に委託していることが多いため、機動的に増産することができず、需要と供給にギャップが生じた。
中国では12月初めからVWの合弁会社で生産に悪影響が出ている。電子制御ユニット(ECU)など向けの半導体が不足しているとされる。ECUなどをVWに供給している自動車部品大手の独コンチネンタルや独ボッシュは、半導体の供給が滞っていることを認めている。コンチネンタルによると、半導体が十分に供給されるようになるまで半年近くかかる可能性もあるという。