近鉄、人員削減600人 コロナ禍の事業悪化で8%削減
近鉄グループホールディングス(GHD)は26日、傘下の近畿日本鉄道で社員の8%にあたる600人の人員を削減すると発表した。希望退職を募り、新入社員の採用抑制やグループ内外への出向などにも取り組む。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて業績が悪化。削減時期は「経営状況に応じて速やかに」としている。
近鉄の社員数は7200人で、駅員や本社の総務、経理部門の社員などを減らし6600人にする。運転士は減らさない。希望退職は人数を定めず、45歳以上の社員を対象に3月24日まで募る。近鉄GHD(社員816人)でも人員削減を予定する。
近鉄は営業距離が501キロメートルに上り、JR各社を除くと国内で最長の路線を持つ。観光の落ち込みを受けて長距離路線の利用回復は鈍く、20年4~12月期の特急料金の収入は前年同期と比べ56%減った。新型コロナを受けて関西の大手鉄道会社が人員削減を打ち出すのは初めて。
近鉄GHDでは21年3月期に連結売上高が前期比43%減の6850億円となり、最終損益は780億円の赤字(前年同期は205億円の黒字)となる見通し。グループでは旅行会社のKNT-CTホールディングスでも業績が急速に悪化しており、20年12月末時点で債務超過に陥った。希望退職を募り、パートを含む1300人超が応じた。