英HSBC、オフィス面積4割減へ コロナ機に見直し
【ロンドン=篠崎健太】英銀大手HSBCホールディングスは23日、世界全体のオフィス面積を今後2~3年間程度で4割削減すると表明した。新型コロナウイルスによる行動規制で在宅勤務を敷いた結果、物理的な執務場所がかつてほど必要ないとの認識が広がったためだ。出張の減少で旅費も大きく圧縮されており、コロナ禍を機に合理化を進める。
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HSBCでは22万人強のフルタイム従業員が働いている。新型コロナの流行に伴う外出規制で多くの従業員が自宅からのオンライン勤務に移り、在宅の比率は一時7割に達した。セキュリティー対策を施した端末を用意するなどして遠隔での業務継続体制を整え、85%の従業員が在宅勤務ができる状態になっている。
ノエル・クイン最高経営責任者(CEO)は23日の電話による決算記者会見で「オフィスでの働き方は変わる。(出社と在宅を組み合わせた)ハイブリッドな形になっていくからだ」と語った。
英国内では4月から1割強の支店を閉じるリストラに着手するが、4割削減の計画は支店ではなくオフィス部門を念頭に置いている。期間満了を迎える賃貸契約の更新をしないなどの手法で減らしていくという。ロンドンの金融街カナリーワーフにある本社ビルは対象外となる見通しだ。
コロナ禍では出張に制限がかかり、旅費が大きく減少する効果も表れた。2020年12月期の年次報告書によると、出張経費は前の期より3億ドル(約315億円)減った。ジョン・ヒンショー最高執行責任者(COO)は同日の決算説明会で「新型コロナは明らかに我々全員の働き方を変えた。不動産や出張にかかる経費を低く抑える機会を得た」と述べ、合理化につなげていく考えを示した。
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