ビジネス往来、11月中に再開 日中外相合意
茂木敏充外相は24日、都内の飯倉公館で中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と会談した。新型コロナウイルスの感染拡大で停止している日中のビジネス目的での往来を11月中に再開すると合意した。短期出張と長期の駐在員が対象で、PCR検査の陰性証明書の提出などが必要になる。
茂木氏は共同記者発表で中国公船による沖縄県・尖閣諸島周辺への領海侵入に関して「中国側の前向きな行動を強く求めた」と語った。王氏は「我々は引き続き自国の主権を守っていく」と強調し、日本が「敏感な水域で事態を複雑にする行動」を避けるよう求めた。
偶発的な衝突を避けるため相互通報体制「海空連絡メカニズム」の直通電話を防衛当局間で早期に開設すると確認した。
香港の人権問題については茂木氏が「懸念」を伝えた。新疆ウイグル自治区の人権状況や中国当局の邦人拘束でも中国側に対応を迫った。地球温暖化対策を巡り、日中で政策を協議する場を設けることでも一致した。
茂木氏は東日本大震災後に中国が設定した日本産食品の輸入規制の撤廃を促し、対話の場をつくることになった。日本側によると延期した習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓来日は話題に出なかった。
王氏は会談で「ともに多国間主義を守り、新時代の要請に合致する中日関係の構築を確実に推進する」と述べた。