米軍が偵察機出動 北朝鮮の「プレゼント」に警戒続く
米軍は26日までに、計6機の偵察機を朝鮮半島上空に派遣した。聯合ニュースが同日伝えたもので、北朝鮮が25日のクリスマス前後に新たな挑発行動を取る可能性を示唆したことを受けた措置。25日を過ぎても北朝鮮の目立った動きはみられないが、米側は警戒態勢を崩していない。
民間の航空追跡サイト「エアクラフト・スポット」によると、米空軍の偵察機RC135WとRC135S、E8C、大型無人偵察機グローバルホークが24日と25日の早朝、一斉に朝鮮半島上空を飛行した。北朝鮮の地上と海上を監視し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射の兆しがないかを偵察したとみられる。
26日には米空軍のRC135S偵察機1機が沖縄の米軍嘉手納基地を出発し、日本海上空を飛行した。北朝鮮の潜水艦基地を偵察したもようだ。米偵察機E8Cも同日、韓国上空を飛行した。在日米軍基地に配備されている空中給油機も出動し支援にあたった。
米軍の偵察機は19日から連日、朝鮮半島上空を飛行している。北朝鮮が3日に「クリスマスのプレゼントに何を選ぶかは米国次第だ」(リ・テソン外務次官)と主張する談話を発表し、何らかの挑発に踏み切る可能性を示唆したことが背景にある。
北朝鮮は米国との非核化交渉で一方的に区切った年末の期限に向け、米国に譲歩を迫る狙いがあったとみられる。ただ、北朝鮮の公式メディアは26日午後の時点で、米朝交渉や下旬に重大な問題を決定するとしていた朝鮮労働党中央委員会総会に関しては報じていない。
20年に米大統領選を控えるトランプ米大統領にとって、朝鮮半島の緊張緩和は有権者に訴える材料になる。トランプ氏は24日、北朝鮮からの警告に言及し「かまわない。私たちは『サプライズ』が何かを突き止め、うまく対処する。様子を見てみよう」と述べた。
長距離弾道ミサイルの発射や核実験の再開など北朝鮮の出方次第では、朝鮮半島をめぐる緊張が高まる恐れがある。韓国国防省報道官は26日の記者会見で「韓米情報当局間の緊密な協力体制を維持し、北朝鮮の動向を持続的に追跡・監視している」と述べた。「さまざまな軍事的状況に備え、確固たる対応態勢を維持している」とも強調した。
北朝鮮がICBMに関する活動を活発化させているとの指摘もある。米NBCテレビは人工衛星写真に基づき、ICBM開発に携わる平壌近郊の平城(ピョンソン)の工場で仮設施設がつくられているのが確認されたと伝えた。北朝鮮は12月に北西部の東倉里(トンチャンリ)でICBMのエンジン燃焼実験とみられる「重大な実験」を2回実施したとも表明した。(白岩ひおな)
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。