インドネシアの石油プルタミナ、ジャカルタ前知事起用
【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシアの国営石油最大手プルタミナは25日、監査役(コミサリス)会の会長にジョコ大統領の盟友で、ジャカルタ特別州前知事のバスキ・チャハヤ・プルナマ氏を起用したと発表した。州知事時代に州政府改革を断行した実績を評価し、経営改善への助言を求める。
プルタミナはインドネシアで最大企業。2018年の売上高は579億ドル(約6.2兆円)、純利益は26億ドルだった。バスキ氏は監査役会会長として、経営の透明化や汚職発生の防止などを取締役らに助言する。インドネシアの監査役には経営を監督・助言するなど日本よりも幅広い権限が認められ、取締役の解任ができる権限もある。
アジアを代表する産油国だったインドネシアでは、プルタミナはかつて「国家のなかの国家」と呼ばれるほど強大な権限を持っていた。一方で汚職がまん延した。石油取引の代金の一部が政治家に流れていたともされる。ジョコ氏は14年の大統領選挙で「石油マフィアの追放」を訴えるなど、同社の改革を進めようとしていた。
少数派の中国系でキリスト教徒のバスキ氏は、ジョコ氏がジャカルタ州知事時代に副知事として改革を支え、後に州知事に就任した。市民目線の改革の実行で高い人気を集めた一方で、歯に衣(きぬ)着せぬ発言があつれきも生んできた。17年にはイスラム教を侮辱した罪に問われ、禁錮2年の実刑判決を受けて刑務所に入った。