ラオス、中国に債務再編を要請 FT報道
【バンコク=岸本まりみ】東南アジアの小国ラオスが中国に債務再編を要請した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT、電子版)が3日までに報じた。新型コロナウイルスの影響拡大でラオスの歳入は急減し、対外債務の負担が高まる。最大の債権国、中国から債務減免などを引き出す狙いだが、引き換えにインフラ設備の使用権などを要求される可能性もある。
FTは関係者の声として「ラオス財務当局は債務救済措置について中国側と協議した」と伝えた。中国側の反応は明らかになっていない。
ラオスは中国の広域経済圏構想「一帯一路」の一環として、同国から多額の投融資を得て高速鉄道やダムなどを建設してきた。中国向けを中心に公的債務は膨らみ、返済額は2025年までの年平均で約10億ドル(約1060億円)にのぼる。
一方、国際通貨基金(IMF)によればラオスの外貨準備高は6月時点で約9億ドルに落ち込んだ。同国の通貨キップの対ドル相場は約12年半ぶりの安値圏まで下落。対外債務の実質的な負担が一段と高まるなか、財政運営に黄信号がともる。
新型コロナ感染拡大を抑制するためラオスは外国人観光客の入国を制限しており、観光収入が減った。タイなど周辺国で働いていた10万人以上の出稼ぎ労働者は失職して帰国を迫られ、国際送金も急減。ラオスにとって数少ない外貨獲得手段の一つが断たれている。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは8月、ラオスの格付けを「Caa2」に2段階引き下げた。同国の信用リスクがかなり高いとみており、国債発行を通じた外貨調達は事実上難しい。ラオス政府は国有企業の株式売却などで対外債務の返済資金を捻出する方針だが、先行きは不透明だ。