Amazon、日本で物流投資 倉庫面積は大手専業並みに
アマゾンジャパン(東京・目黒)は10月までに東京都、埼玉県の4カ所で物流施設を開く。「フルフィルメントセンター(FC)」と呼ぶ主要な物流施設を一気に21カ所に拡充する。規模が非公表の施設を除いて推計すると、延べ床面積は計125万平方メートルと、三菱倉庫など倉庫大手を上回る。物流能力で楽天やヤフーなど、競合を大きく引き離しつつある。
8月26日に開設した久喜FC(埼玉県久喜市)をはじめ、新設4拠点の床面積は計35万平方メートルと東京ドーム7.5個分だ。総面積は19年比で4割増え、三井倉庫(面積140万平方メートル)や三菱倉庫(同97万平方メートル)など倉庫専業の大手企業と肩を並べる。
コロナ禍でネット通販の利用は急増している。電子商取引(EC)大手では楽天が自社物流の増強に力を入れるが、全国7拠点にとどまる。Zホールディングス傘下のヤフーは自社で物流拠点を持たない戦略をとる。
「日本では2019年だけで6千億円超を投資した」。8月中旬、オンラインイベントでジャスパー・チャン社長がアマゾンとしては珍しく、物流やデータセンターなどを含む国内投資額を明らかにした。過去10年平均の約2倍の水準だ。楽天の19年12月期の設備投資額は携帯基地局など含め1635億円。アマゾンの資金力はずぬけている。
日本の売上高は19年で1兆7443億円と前年から14%増えた。ネット通販の需要増に対応し、20年の投資はさらに増える可能性もある。物流力でもアマゾンの存在感が大きくなりそうだ。
(企業報道部 伴正春)
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