私的年金、加入延長へ 企業型確定拠出は70歳に
厚生労働省は9日開いた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で、私的年金に加入できる期間を延ばす方針も示した。企業型確定拠出年金(DC)に加入できる年齢の上限を70歳未満、個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)を65歳未満に引き上げる。働く高齢者が増える中、老後の備えを厚くする体制整備を急ぐ。
確定拠出年金は定期預金や投資信託など、自ら金融商品を選んで運用する仕組みだ。公的年金を補完する私的年金の一つで、勤める会社が掛け金や手数料を支払う企業型DCと、個人が支払うイデコがある。
共に税制優遇が得られるのが特徴だ。掛け金は非課税の上、利息や運用益にも税金がかからない。年金を受け取る際も退職所得控除や公的年金等控除などの対象となる。企業型の加入者は8月末で721万人、イデコは134万人とともに拡大が続いている。
厚労省は9日の部会で企業型DCの加入年齢の上限を厚生年金とあわせ、現状の65歳未満から70歳未満に引き上げる案を示した。イデコも国民年金と同様に、60歳未満から65歳未満に引き上げる方針だ。60歳から70歳までの間で選ぶ受給開始時期も、70歳以降に延ばす。
部会では「70歳までの就業機会の確保の議論がなされている中で、制限の緩和は非常に良い」(日本商工会議所の細田真氏)、「DCとして可能な見直しを最大限しようということで評価できる」(野村総合研究所の金子久氏)との声が出た。厚労省は財務省や与党と税制上の調整を進め、20年の通常国会に改正法案の提出を目指す。
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