米当局、原油価格見通し3割下げ OPECの増産受け
【ニューヨーク=中山修志】米エネルギー情報局(EIA)は11日、2020年の原油の平均価格の見通しを従来予想から31%引き下げた。新型コロナウイルスの感染拡大による石油需要の減少に加え、サウジアラビアなど主要産油国の増産方針を反映した。米国の20年の原油生産量の見通しも1.6%下方修正した。
EIAが短期エネルギー見通しを更新し、米原油先物指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の20年の平均価格を1バレル38.19ドルに引き下げた。2月時点では1バレル55.71ドルを見込んでいた。20年の米原油生産量も2月の見通しから21万バレル引き下げ、19年比6%増の日量1299万バレルとした。
EIAは見通し修正の理由について、6日の石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国の協調減産の交渉が決裂したことを挙げた。その上で「OPECは世界の石油市場の安定よりもシェアを狙うとみられる」と指摘した。
2月まで1バレル50ドル前後だったWTIは協調減産の不調とサウジアラビアの増産方針を受けて急落し、足元は30ドル台前半で推移している。
EIAは1月時点で1バレル59ドル台の相場を前提に、20年の米国生産が19年比で9%増加すると予想していた。ただ、新型コロナの感染が拡大する前から米シェールオイルの開発ペースの鈍化が指摘されており、エネルギー業界では「EIAの見通しは楽観的過ぎる」との声も出ていた。
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