米、空母2隻を中東配備へ イランけん制で8年ぶり
【ワシントン=中村亮】米軍は13日、中東地域でのイランの脅威に対処するため当面は2隻の空母を配備することを明らかにした。中東で中長期にわたり2隻体制とするのは2012年以来。中東地域を管轄する米中央軍のケネス・マッケンジー司令官は同日の記者会見で「米軍への追加攻撃に対応する万全の体制が整っている」と強調し、イランや同国傘下の武装組織をけん制した。
米軍が中東地域に配備したのは空母「ドワイト・アイゼンハワー」と「ハリー・トルーマン」。米軍は通常、中東地域で空母1隻を運用しており2隻体制とするのは異例だ。有事の際の攻撃能力が大幅に高まる。中央軍は13日、FA18戦闘攻撃機「スーパー・ホーネット」がドワイト・アイゼンハワーで出動準備を進める様子をツイッターに投稿した。
マッケンジー氏は記者会見で、12日のイラン傘下にあるとみられるイラクのシーア派武装組織「カタイブ・ヒズボラ」の武器貯蔵施設を狙った軍事作戦について「(施設を)完全に破壊し、イランが提供する高度な兵器を貯蔵することができなくなった」と成果を強調した。イランの脅威について「大きいことに変わりはない」と語り、報復攻撃に警戒する考えも示した。
トランプ米政権は11日に起きたイラクの駐留基地に対するロケット弾攻撃をカタイブ・ヒズボラが実行したと断定した。この攻撃では米兵2人が命を落とした。これを受け、米軍が12日に報復攻撃を実行していた。
一方でマッケンジー氏は軍事作戦を実行したのは現地時間13日午前1時ごろと説明した。武装組織側に多数の死傷者が出やすい日中を避けたとみられる。ロイター通信によると、攻撃でイラク兵3人が死亡し、4人が負傷した。米軍が19年12月末にカタイブ・ヒズボラの拠点を空爆した際には少なくても戦闘員25人が死亡、55人が負傷しており、今回の軍事作戦は小規模にとどめたとの見方もできそうだ。
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