中国・ロシア、「内政不干渉」で共闘 バイデン氏けん制
【北京=羽田野主、モスクワ=石川陽平】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は10日、オンラインで開く上海協力機構(SCO)首脳会議に出席した。議長国を務めるロシアのプーチン大統領と連携し、来年1月のバイデン次期米政権の発足をにらみ「内政不干渉」の原則を強調した。
習氏は席上で「外部の勢力が口実を作ってSCO加盟国の内政に干渉することに断固反対する」と強調した。中国国営の新華社が伝えた。
米大統領選でバイデン前副大統領が当選を確実にして以来、習氏にとって初の外交となった。習氏は「新型コロナウイルス対策のワクチン供与を積極的に考えたい」とも述べ、加盟国への優先供与を示唆した。
バイデン氏は「同盟国と手を組んで中国に圧力をかける」と主張する。中国にはSCOの加盟国と連携して米国をけん制する狙いがある。
バイデン氏は中国の新疆ウイグル自治区を巡る人権問題や香港の民主化活動への抑圧を問題にしており、習指導部にとってロシアなどと「内政不干渉」で足並みをそろえる意味は大きい。
プーチン氏も「共通の安全保障に対する露骨な挑戦は、内政問題に対する外からの直接的な干渉の試みが増えていることだ」と指摘した。
SCOのオブザーバー国であるベラルーシで続く反政権の抗議運動などを米欧が支持していることを念頭に置いて批判した発言だ。
プーチン政権はロシアについて「重大な脅威」「敵対国」と繰り返し発言してきたバイデン氏が、欧州の同盟国と連携して対ロ圧力を強めることを警戒している。
プーチン政権は同じ強権的国家の中国と結束を強めることで、新たな米民主党政権による圧力に対抗したい考えだ。
SCO内にはインド北部のラダック地方にある係争地を巡り緊張関係にある中国とインドの不和を懸念する声がある。
中国共産党系メディアの環球時報(英語版)は10日の紙面で「インドは地政学的な懸念をひとまず脇に置いて、経済発展と貿易振興の取り組みに参加するのが望ましい」と主張する評論記事を掲載した。中国にはインドとの摩擦を最小限に抑えて対米結束を優先したい思惑があるとみられる。
SCOは中ロやインド、中央アジアなどの国々が参加する地域協力組織。当初夏に首脳会議が予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期になっていた。