声紋データで迷惑電話を自動切断 セレンディピティー
Edgy企業
セレンディピティー(東京・新宿)は迷惑電話を防止するスマートフォン用アプリ「シェアガード」を開発する。迷惑電話をかけたとみられる人物の声紋を蓄積し、その声紋と一致する電話が掛かってきたら、自動的に電話を切断する。年内の実用化を目指す。
スマホ用基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のスマホで利用できる。アプリは通話時に自動的に起動し通話を録音する。アプリ利用者が怪しい電話を受けた場合、アプリ画面上のボタンを押すと、音声を声紋データに変換し、同アプリとつながっているサーバーに登録する。
同じ声紋データが10回以上蓄積されると、迷惑電話を掛けている人物とみなす。その後、アプリを搭載しているスマホに声紋の主から電話が掛かると、通話を自動切断する。画面には1カ月で何回迷惑電話の通報があったかを表示する。
最近のアンドロイドスマホは、個人情報保護の観点などから、一般のアプリで通話を録音しにくくしているという。実用化当初からなるべく多く対応機種をそろえられるよう、端末メーカーに協力を依頼している。機能を簡単なものに絞った、高齢者向けスマホなどでの利用を目指す。
通話録音アプリを取り込めるスマホを貸し出し、1~2月に同社の高良悦子社長の知人を対象に、3~5月には都内の自治体の協力を得てアプリの使用テストを実施する。
同社は高良社長が東京・世田谷でカフェを運営する会社として2012年に設立した。カフェの客から土地柄、特殊詐欺被害が多いと聞いていて「犯人の声を覚えさせ、警告して通話させないようにする仕組みができないかとひらめいた」という。
運営していたカフェは物件を売却して定款を変更、アイデアの実現に動いた。コンサルタントや弁理士に説明し実用化が見込めることを確信、夫にアプリ技術者を紹介してもらい、開発にこぎつけた。
アイデアと技術は特許を申請、開発資金などに充てるためクラウドファンディングも活用した。サービス開始後は個人に1カ月200円の料金で利用してもらうほか、自治体にまとまった人数分をライセンス提供し、住民に使ってもらうことも想定している。