不動産 過熱の代償(1) サラリーマン大家に試練
ルポ迫真
「申し訳ございませんが、これ以上はお貸しできません」。メインバンクの一つだった地方銀行の支店長に頭を下げられ、依田泰典(42)は途方に暮れてしまった。「信頼してもらっていると思っていたんですが……」
依田は不動産会社に勤める傍ら、東京23区を中心にマンション住戸を賃貸する「サラリーマン大家」だ。銀行融資を元手に約10年かけて23戸まで買い増してきた。自ら賃貸経営の勉強会を主宰し、この世界では名の売れた存在だが、それでも新規融資が付かない。
「不動産はしばらくお預けです」。資産規模が10億円を超える「メガ大家」の一人、玉川陽介(40)も依田と同じ憂き目にあい、2018年春から新規投資は控えている。物件価格が高くなった一方で、金利や頭金など融資条件が厳しく...