YouTuberも養成 専門学校に応募が殺到
KADOKAWA傘下のバンタン(東京・渋谷)の「ユーチューバー養成学校」とも言える専門学校が注目されている。撮影・編集など映像作成のノウハウを学べるもので、来春の開校に向けて募集を始めたところ問い合わせが殺到。このほど定員を1.5倍に増やした。動画配信市場の拡大をにらみ、専門人材を育成する動きが広がりそうだ。
バンタンは2021年4月、2~3年制の専門学校「バンタンクリエイターアカデミー」を開校する。15~18歳が対象の高等部と18歳以上が対象の専門部を開設し、ユーチューブなど主にインターネット向けの動画作成の技術を教える。
「ユーチューブの動画運営では企画や編集、再生数を伸ばす動画分析など様々なスキルが求められる」(事業開発本部の沼田伸一副部長)。そのため入学初年度は撮影技術だけでなく、視聴者の興味を引く動画の企画・編集方法など基礎技術を幅広く講義する。マーケティング支援のタグピク(東京・渋谷)と提携し、閲覧数を伸ばすためのSNS(交流サイト)の活用方法なども指南するという。
生徒は東京・恵比寿の校舎内でカメラやパソコンを使いながら実習形式で学ぶ。新型コロナウイルスの影響次第では、オンラインでの講義配信も検討する。
クラスは動画作成の経験度合いで分けるため、高等部と専門部の生徒が同じ教室で講義を受けることになる。動画企画の実習は3~5人のチームで行う「ピアラーニング」の仕組みを導入。高等部の生徒は通信制学校「N高等学校」のオンライン授業を受けられ、高校卒業資格を取得できるという。
経営者や有名クリエイターを講師に招く点も特徴。サイバーエージェントの藤田晋社長やチャンネル登録数が30万人を超える「ぴーかっぱあっぷる(PKA)」など人気ユーチューバーを呼んだ講義も計画中。
動画制作を学ぶ専門学校はほかにもあるが、インターンシップと連動する点で違いを打ち出す。ユーチューバーのマネジメントを手掛けるUUUMと提携、在学2年目から同社などの動画関連企業で有償インターンシップをする。同社に所属のユーチューバーの撮影補助をしたり、マネジャーの仕事を経験したりする。
サイバーエージェントの調査によると、広告費などで換算したユーチューバーの市場規模は18年に313億円と3年で9倍に急増。学研ホールディングスが19年に男子小学生を対象に行った「将来就きたい職業」調査では「ネット配信者」が首位となるなど注目も高まっている。同校もインフルエンサーやそのマネジャーを目指す中高生の関心が高く、当初の100人としていた定員を150人に増員した。沼田副部長は「これまで動画配信を専門的に教える学校はなかった」と指摘する。
(大阪経済部 平嶋健人)
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