バッタ大群、インド首都郊外に 一段の大量発生も
農作物を食い荒らすバッタの大群がインドの広範囲に襲来している。27日には首都ニューデリー郊外に到達し、なおも近隣の州へと移動を続けたもようだ。インド政府は食糧被害を防ぐため、バッタの駆除や繁殖予防措置を講じているが、国連食糧農業機関(FAO)は一段の大量発生の可能性を警告している。
インド政府は27日、バッタの群れがパキスタンと国境を接する西部ラジャスタン州から移動し、ニューデリー近郊のハリヤナ州に至ったと発表した。ハリヤナ州には農地が多いほか、デリーに近接する同州の都市グルグラムには日系を含む外資系企業が多く進出している。地元テレビは大量のバッタが高層マンションの壁面に張り付き、大群の襲来で空が薄暗くなった様子を伝えた。
FAOによると、インドで大量発生しているサバクトビバッタの群れは1日に最大130キロメートルも移動する。群れには1平方キロメートルあたり少なくとも4千万匹の成虫が含まれ、その規模では1日に約3万5千人分の食糧が被害に遭うという。放置すれば被害が深刻になる。
バッタの大群はラジャスタン、ハリヤナを含む7州で確認された。これらの州ではトラクターや消防車、ドローン(小型無人機)を使って水や農薬を散布する駆除を実施している。4~6月末にかけて、政府は全国でバッタ駆除を展開した。
だがバッタの発生は長引く恐れがある。FAOは「春にインドとパキスタンの国境で繁殖した大群が6月~9月の雨期に成長し、卵を産むだろう」と警告する。東アフリカのソマリアにいる大群が渡ってくる可能性も指摘した。