北朝鮮が文氏の演説を批判 「再び対座する考えない」
【ソウル=恩地洋介】北朝鮮の対韓国窓口機関である祖国平和統一委員会は16日に出した報道官談話で、15日の演説で対話を呼びかけた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を批判した。5日に始まった米韓合同軍事演習に反発し「私たちは南朝鮮(韓国)の当局者とこれ以上話す言葉もなく、再び対座する考えもない」と述べた。朝鮮中央通信が報じた。
文氏は15日の光復節演説で南北経済協力の推進に強い意欲を示し、2045年に統一をめざす構想まで披露した。北朝鮮には「不満があっても対話を難しくすることは望ましくない」と、米国との非核化交渉への復帰を促した。
北朝鮮の談話はこうした文氏の発言を「合同軍事演習が行われている時に、対話や平和という言葉をどんな体面で吐き出すのか。本当にずうずうしい人だ」と皮肉った。その上で「北南対話の動力が失われたのは自業自得だ。演習後に自然と対話局面が訪れるというのは妄想だ」と主張した。
20日に米韓演習が終了した後、北朝鮮は29日に最高人民会議(国会に相当)を予定しており、今後の外交姿勢を打ち出す可能性がある。トランプ米大統領によると、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は先週、トランプ氏に充てた親書で「米韓演習が終われば、すぐに会って交渉を始めたい」と伝えた。当面は米朝首脳会談の年内実現に集中する方針とみられる。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。