電力売買、ブロックチェーンで 九大発「チームAIBOD」
九州大学発の人工知能(AI)スタートアップ企業、チームAIBOD(アイボッド、福岡市)はブロックチェーン(分散型台帳)技術を応用し、家庭で発電した電気などを個人間で売買できるシステムの開発に乗り出す。価格は需給に応じてAIが試算。電力会社の送電網などを通じてやり取りする。ブロックチェーン開発のカウラ(東京・千代田)と協業し、3年以内の完成を目指す。
電力小売り自由化で新電力の参入が相次ぎ、家庭の余剰電力を直接売り買いできるようになる可能性があることに備える。個人間取引の基盤としてブロックチェーンを活用する。
ブロックチェーン上で発電した電力を暗号資産(仮想通貨)や地域通貨などに置き換え、売り買いできる。電気自動車の電源との交換もできるようにする。さらに二酸化炭素(CO2)の排出削減の取り組みなども金額化できるため、国や自治体が削減分に対価を支払えば、より効率的に環境保護を進められる可能性がある。
アイボッドとカウラは、こうしたブロックチェーンのプラットフォームを作りながら、AIでエネルギー需要を予測する機能も加える。共同で特許を取得したり、お互いの技術開発に助言し合ったりもする。
電力の個人間取引を巡っては昨夏、九州電力がブロックチェーン技術を活用するデジタルグリッド(東京・千代田)に出資した。大阪ガスや中部電力も実証実験を進めるなど、エネルギー大手の関心も高まっている。