4~6月期の台湾GDP、マイナス0.7% 17四半期ぶり
【台北=中村裕】台湾の行政院(内閣)が31日に発表した2020年4~6月期の実質域内総生産(GDP)速報値は前年同期比0.73%減となった。5月時点の予想(0.5%増)を下回った。前期比年率換算(季節調整済み)では8.82%減だった。
台湾当局は新型コロナウイルスの感染の封じ込めに成果を挙げたが、プラス成長は維持できなかった。
マイナス成長になるのは、16年1~3月期以来、17四半期ぶり。GDPの半分を占める民間消費が前年同期比5.13%減と大きく落ちたことが響いた。台湾の感染者数は467人にとどまり、台湾域内での感染例は4月13日以降、確認されていない。ただ、感染防止のため外出を控えて消費意欲が減退したほか、出入境が制限され観光客が激減したことが響いた。
設備投資など資本形成は9.56%増と大きく伸びた。台湾にはパソコンなどIT(情報技術)機器メーカーが多い。世界中でテレワークが進み、アマゾン・ドット・コムなど米巨大IT各社からのサーバー需要が拡大し投資が膨らんだ。
モノの輸出は2.42%減だった。半導体は好調だったが、一般部品などが大きく落ち込んだ。
一方、足元の状況は改善しつつある。消費刺激策として7月15日からクーポン券「三倍券」の利用を開始した。事前に1000台湾ドル(約3600円)を払えば、3倍に当たる3000台湾ドル分の消費が可能なクーポンをもらえ、レストランなどで消費が大きく伸びている。
半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が7月、設備投資を一段と積み増すと公表し、関連企業の投資もさらに活発化することが見込まれる。31日会見した黄偉傑・専門委員も「投資が予想よりも良い」と話した。直近6月の海外メーカーからの受注高も堅調で、民間大手シンクタンクの台湾経済研究院は2020年の実質経済成長率予想を従来の1.58%(4月時点)から1.83%に引き上げている。