東証でシステム障害、全銘柄の売買停止 2005年11月以来
東京証券取引所で1日、株価など相場情報の配信システムに障害が発生して終日取引を取りやめると発表した。午前9時の取引開始から全ての銘柄で売買を停止している。復旧のめどはたっておらず、原因を調査している。システム障害によって東証で株式の売買が終日停止されるのは初めて。
原因は調査中で、午前11時時点で復旧のめどはたっていない。株価指数や投資信託などの金融商品への影響も避けられず、市場では困惑が広がっている。
障害は1日の取引開始前に判明。投資家の注文を取引所につなぐ証券会社などに全銘柄の売買を停止すると通知し、8時30分ごろにホームページ上でも公表した。
名古屋証券取引所は1日、東証で発生した障害に伴い名証での全銘柄の売買を停止すると発表した。札幌証券取引所、福岡証券取引所も同様に全銘柄の売買を停止した。名証などは東証のシステムを利用しているため障害により取引ができなくなる。
先物など金融派生商品(デリバティブ)を取り扱う大阪取引所は通常通り動いている。ジャパンネクスト証券などが運営する私設取引システム(PTS)上でも取引が行われており、複数の個別銘柄の取引が成立している。
東証によると、障害はシステムへの不正アクセスなどが原因ではなさそうだとしている。
旧ライブドアへの家宅捜索を機に売買が急増した06年1月には、東証はシステムダウンを避けるため自主的な判断で全銘柄の売買を停止したことがある。
東証のシステムには、売買注文を付け合わせる基幹システムの「アローヘッド」のほか、株価情報などを配信する情報系システムがある。今回は情報系のシステム部分に障害が発生したとみられる。アローヘッドを設計・開発した富士通は「東証と共同で状況を確認している」としている。
日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)など各種株価指数は算出できていない。
複数の取引所やPTSでの取引が可能な米国などと違い、日本の場合は現物株の取引の9割程度が東証に集中している。1日の全面停止を受け、市場関係者からは不安の声が上がった。
GCIアセット・マネジメントの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネージャーは「通常はバックアップシステムは分離されているはずなので、全面的に止まるのは不可解だ」と話す。運用会社のトレーダーは「朝7時~8時のシステムチェックで判明した。ここまで大規模に止まることがなく、てんやわんやしている」と話す。「東証の問題だと日本市場の信頼問題になる」との声もある。
売買停止は広範囲の関係者に影響が出そうだ。日経平均株価などの株価指数が算出できていない。株式で運用する一部の投資信託は基準価格が出せず、「(投資家の)解約対応などで混乱が起きそう」(岡三証券の松本史雄氏)という。
東京証券取引所は2020年10月1日、システム障害を受けて全銘柄の取引を終日取りやめました。売買が終日停止されたのは1999年の取引のシステム化以降で初めてでした。この問題に関する最新ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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