フェイスブック49%減益、当局制裁で 独禁法でも調査
【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックが24日発表した2019年4~6月期決算は純利益が前年同期比49%減の26億1600万ドル(約2800億円)だった。個人情報保護の不備で米連邦取引委員会(FTC)が科した50億ドルの制裁金が響いた。併せて同社は反トラスト法(独禁法)違反でもFTCの調査下にあると公表。規制リスクが高まっている。
減益の理由は同日にFTCが発表した50億ドルの制裁金だ。プライバシー関連ではFTCとして過去最高の額で、1~3月期に30億ドルを、今4~6月期は20億ドルをそれぞれ引き当てた。このため2四半期連続の減益となっている。
ただ、稼ぐ力は底堅い。売上高は28%増の168億8600万ドル。うち98%を占める広告事業も28%の増収だった。1カ月当たりのユーザー数は24億1000万人で前年同期比で8%増えた。欧州と米国・カナダは微増だが、インドやインドネシアなどアジア太平洋地域でユーザーを増やした。
キャッシュフローも潤沢だ。4~6月期末時点の現金および換金性の高い株式の総額は486億ドルにのぼり、巨額の制裁金も十分吸収できるレベルにある。
一方で、個人情報の保護や市場での強すぎる支配力などにからみ各国政府当局の同社に対する監視の目は強まっている。23日にはお膝元の米国で米司法省が同社を含めたIT(情報技術)大手に対し、反トラスト法違反での調査に乗り出すと発表した。
また同社は6月にFTCからも反トラスト法にからみ調査を始めたとする通知を受けたとことを明らかにした。調査の進展しだいでは企業買収や新規事業を進める際に政府の目が厳しくなる可能性がある。
ただ、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は強気だ。同氏はアナリスト向けの会見で規制について「それが無ければ(物事の基準がわからず)テック産業全般へのストレスになる」と述べた。
また、20年の投入を目指すデジタル通貨のリブラについて同氏は「政府の懸念にはすべて応える」と説明。そのうえで「ネット通販と決済は非常に重要」と話し、対話アプリを軸とした新たなSNS事業の中核にリブラを据える考えを強調した。
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