タイ発電公社が再生エネ証書 購入第1号はトヨタ
【バンコク=村松洋兵】国営のタイ発電公社(EGAT)は8日、再生可能エネルギーで発電したことを示す「グリーン電力証書」の発行を始めると明らかにした。再生エネで作った電力は通常より割高だが、証書があれば購入企業は電力使用に伴う二酸化炭素(CO2)の排出削減を証明できる。トヨタ自動車が第1号で購入を決めた。
グリーン電力証書を管理する非政府組織(NGO)のI-RECスタンダード(本部オランダ)から、EGATが発行団体として認められた。EGATは再生エネを自社の発電分のほか、独立発電事業者からも調達し、証書をつけて販売する。タイでは再生エネによる発電コストはまだ高く、ガス火力が主体の通常の産業用料金より割高となる。
CO2排出削減に取り組む企業の購入を見込む。トヨタは2021年4月から1年間の契約で、タイで使う電力の数%分に相当する量を証書付きで購入する。金額は明らかにしていない。
同社は50年までに工場からのCO2排出ゼロを目指しており、太陽光発電パネルの設置などを進めている。自社で再生エネ発電を増やすのは限界があり、証書の購入が得策だと判断した。
タイ政府は電力開発計画で再生エネ(水力を含む)の電源構成比率を18年時点の18%から、37年に29%まで高める目標を掲げる。EGATを通じて再生エネを流通させる仕組みをつくり、民間にも投資を促す考えだ。