ジャニーズ事務所を注意 元SMAPメンバーの起用妨害か
ジャニーズ事務所(東京・港)がテレビ局に対し、同事務所を退所した元SMAPの3人を出演させないよう働きかけた場合、独占禁止法違反につながる恐れがあるとして、公正取引委員会が同事務所に注意していたことが17日、関係者への取材で分かった。
公取委は、テレビ局や3人の事業活動を制約する独禁法上の「取引妨害」などに該当しないか、関係者から事情を聴いていた。
公取委の注意は、違反行為の未然防止を図るために取る措置。違反行為の存在を疑うに足る十分な証拠が得られないものの、違反につながる恐れがある行為が見つかった場合に講じる。
SMAPは「世界に一つだけの花」「夜空ノムコウ」などのヒット曲で知られるアイドルグループ。長年担当した女性マネジャーの独立をきっかけに一部メンバーが退所を希望したことから、2016年末に解散した。
元メンバー5人のうち、木村拓哉さん、中居正広さんはジャニーズ事務所に残留した。一方、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人は退所し、17年9月に共同で公式ファンサイト「新しい地図」を立ち上げた。
3人は同事務所から独立後、出演していた民放のレギュラー番組の打ち切りが相次いだ。同ファンサイトによると、現在は草彅さんがNHKの「ブラタモリ」でナレーションを担当しているだけだ。テレビでの出番を失った3人はインターネットテレビや映画を中心に活動している。
労働分野に対する独禁法の適用について、公取委の有識者会議は18年2月、運用指針を報告書にまとめた。芸能事務所が強い立場を利用してタレントなどと不当な契約を結んだり、過度に移籍を制限したりすることは独禁法違反の恐れがあると指摘。公取委は関係団体に自主的な改善を求めている。