中国、厳戒下の天安門31年 香港で追悼集会を決行
【北京=多部田俊輔、香港=木原雄士】中国で民主化を求める学生らを軍が鎮圧した1989年の天安門事件から4日で31年となった。中国当局は2億台以上の監視カメラと徹底した情報統制で犠牲者の追悼活動を抑え込んだ。香港警察は新型コロナウイルス対策を名目に追悼集会を禁止したが、1万人以上が集まり、一部地域では警察と衝突した。
香港は「一国二制度」のもとで毎年、大規模な集会を開いてきた。今年は集会が禁止されたが、民主派団体は香港島のビクトリア公園に集まり決行した。中国が法制化を進める香港国家安全法が施行されると「共産党一党支配」を批判する追悼集会が違法になる可能性がある。仕事帰りに参加した陳さん(46)は「10年以上参加しているが、今年が最後になるだろう」と語った。
北京の天安門広場は新型コロナ対策で観光客数を制限しており、広場付近には多くの警官や警備車両が目を光らせていた。2日午後に一時封鎖されたが、4日は早朝から開放され、観光客が写真撮影に興じていた。河北省から観光に訪れたという20代の男性は「(天安門事件に)関心がない。それよりも新型コロナが再び流行しないかが心配だ」と話した。
中国本土では事件を指す「六四」がインターネットで検索できないなど、当局が厳しい言論統制を敷く。中国外務省の趙立堅副報道局長は4日の記者会見で天安門事件について問われると「中国が選んだ発展の道は完全に正しかった」と述べ、軍が鎮圧した当時の判断を正当化した。
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