元徴用工訴訟、現金化手続き夏以降 韓国地裁が公示送達
【ソウル=恩地洋介】韓国最高裁が新日鉄住金(現日本製鉄)に賠償を命じた元徴用工訴訟で、韓国大邱地裁浦項支部は3日までに、同社に資産差し押さえの通知書類が届いたとみなす公示送達の手続きを取った。8月4日に効力が発生するとしており、夏以降に資産を現金化する手続きが進む可能性が出てきた。
公示送達とは、裁判所での掲示をもって訴状などの書類が相手に届いたとみなす手続き。原告側は、日本製鉄が鉄鋼大手ポスコと合弁で設立したリサイクル会社「PNR」の株式約19万4千株を差し押さえている。
8月4日以降に裁判所が命令を出せば、原告は資産評価など株式売却に向けた手続きを前に進めることができる。日本政府は韓国側に現金化を回避するよう求めているが、司法判断の尊重を主張する韓国政府との間で解決策は見いだせていない。
韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)前議長が2019年末に提出した解決法案は、5月下旬に廃案となった。