国産スパコン「京」運用終了 7年の歴史に幕
後継の「富岳」に代替わり
神戸市の理化学研究所の拠点で2012年に本格稼働した国産スーパーコンピューター「京(けい)」が、7年に及ぶ歴史に幕を下ろす。16日に大学の研究者や企業による利用が終了。30日に電源を落とした後に撤去され、後継の「富岳(ふがく)」に代替わりする。
京は計算速度で世界最高を目指し、約1100億円の国費を投じて開発・設置された。
1秒間に1京(1兆の1万倍)回の計算ができることが名称の由来で、11年3月にシステムの一部が稼働し、同年に「TOP500」と呼ばれるスパコンの性能ランキングで世界一を獲得。12年9月に実際の運用を始めた。
大学や企業の研究者など延べ1万1千人以上がシミュレーション(模擬実験)などに利用し、宇宙の進化を探る研究や気象予測、企業の新材料開発などに貢献してきた。
京が撤去された後に富岳が設置され、21年にも運用を始める。ピーク時の計算性能は毎秒40京回に達し、京を大幅に上回る。現在、世界最速のスパコンである米国の「サミット」の2倍で、日本が世界一の座を奪還する可能性もある。
創薬や防災、エネルギー関連の研究開発などで、画期的な成果の創出を目指している。
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