臨時国会、10月下旬召集で調整 外国人就労拡大が焦点
自民党総裁選で安倍晋三首相が3選したのを受け、政府・与党は臨時国会を10月下旬に召集する調整に入った。自然災害の復旧作業対応としての2018年度補正予算案の成立を最優先する。外国人労働者の受け入れを拡大する法案などが焦点となる。首相は自民党の憲法改正案の提出をめざすと表明しており、立憲民主党などの野党は対決姿勢を強める。
臨時国会の召集は10月26日を軸に検討する。会期は19年度予算案の編成が本格化する12月10日ごろまでを想定している。首相が国際会議に出席する外交日程もはさむため、実質的に審議できる日数はさらに短い。まず衆参両院の本会議で首相が所信表明演説に臨み、与野党による代表質問に入るのが慣例となっている。
最優先で審議するのは西日本豪雨や台風21号、北海道地震などに対応する補正予算案だ。自民、公明両党は18日に臨時国会に提出するよう政府に求める方針を確認した。北海道の電力の安定供給策や農業・観光業の支援が中心になる。
政府・与党は経済成長に向けた戦略を進めるための法案成立を急ぐ。外国人労働者の受け入れを拡大する入国管理法改正案がその柱だ。人手不足が深刻な建設や農業、介護などの業種を対象に、19年4月に新たな在留資格を設ける内容だ。
国会質疑に向け、野党は対応を急ぐ。立憲民主党は党内に外国人の受け入れ拡大に関するプロジェクトチームを発足し、問題点の洗い出しを進めている。国民民主党の玉木雄一郎代表は「外国人の権利保護の観点から問題がないかが大事な視点だ」と訴え、臨時国会前に党の考え方をまとめる方針を表明している。
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の承認手続きも控える。関税分野では農林水産品と鉱工業製品を合わせて日本側が約94%、EU側が約99%を撤廃する。
憲法改正をめぐっては、首相は20日の総裁選勝利を受けた記者会見でも強い意欲を表明した。
9条改正案には主な野党が反対し、公明党も慎重な立場を崩していない。立民は安倍政権下での改憲論議の土俵に乗ること自体、警戒感をあらわにしている。憲法改正に先立ち、改憲の手続きを定めた国民投票法改正案は前国会から継続審議になっている。まずは同法案を臨時国会で成立できるかが改憲への試金石になりそうだ。
野党は学校法人「森友学園」「加計学園」をめぐる問題を引き続き追及する構えだ。野党6党派は「国民は納得していない」と主張し、国会閉会中も合同ヒアリングを開いている。公文書の改ざん問題を受け、公文書管理法の改正も訴えている。