東北電、「仮想発電所」実証で独社と協定
東北電力は23日、複数の太陽光発電設備や蓄電池をまとめて管理する「仮想発電所(VPP)」の実証を進めるため、VPPの独大手、ネクストクラフトベルケと協定を結んだ。独社が持つ知見や技術を活用し、VPPの事業化に取り組む。
東北電は8月、設備ごとに発電量の測定や予測ができる独社のシステムを通して、出力2~10キロワットの蓄電池がうまく機能するかどうか検証を始める。2020年2月には太陽光発電などに対象を広げ、VPPの事業化や新サービスの開発を検討する方針だ。実証期間は約2年を予定している。
VPPとは各地に点在する太陽光発電や蓄電池、電気自動車(EV)などを、あらゆるものがネットにつながる「IoT」技術を使って制御し、ひとつの発電所のように機能させる技術を指す。
電力は需要と供給を一致させないと周波数が乱れ、全域停電になる恐れがある。VPPが確立すれば、需給バランスを火力発電所などの発電量ではなく、蓄電池への充放電などで保つことができ、燃料コストの削減などが期待できる。
国内では21年度以降、周波数を維持するために電力をやり取りする「需給調整市場」が導入されるため、電力各社はVPPの実証に取り組んでいる。東北電の石山一弘執行役員企画部長は「新市場で電力を売って収益を上げ、設備の効率化を通したコストの低減も目指したい」と話している。