フィリピン、ルソン島全域に外出制限 企業活動停止も
【マニラ=遠藤淳】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、フィリピンのドゥテルテ大統領は16日、地域ごとの移動制限措置を首都マニラからルソン島全域に拡大すると表明した。さらに住民には外出を必要最小限にとどめ、企業には業務を縮小・停止するよう求めた。同国で感染が確認されたのは142人にとどまるが、ここに来て急増しており、踏み込んだ対応で感染拡大を抑える。
ルソン島には人口の過半にあたる約5700万人が住む。島全域の地域ごとの出入り制限措置は17日から4月12日まで実施する。新型コロナウイルスの感染者が確認された人数などに応じて、州など自治体ごとに出入りを制限する行政区域を設定。出入りを認めるのは、通勤や物資を輸送する場合などに限定する。
マニラを含め、自宅からの外出制限措置も新たに導入する。食料品などの生活必需品を買いに行く場合などは外出を認める。軍兵士や警察官を動員して警戒にあたらせ、指示に従わない場合は、逮捕する可能性もあるとしている。
食品製造や医療、電力など生活に不可欠な産業や、受託サービス産業、輸出産業に関しては、必要最小限の人員で運営を続けることを認める。ドゥテルテ氏は大統領府での会見で「企業には少しの間、できる限り業務を縮小したり、休止したりして協力してほしい」と述べ、在宅勤務を導入するよう促した。
ルソン島には、トヨタ自動車や三菱自動車など日系自動車メーカーが工場を構え、国内市場向けに製造している。これらの企業の生産活動が1カ月近く停止を求められる可能性があり、経済や企業経営に大きな影響を与えそうだ。
マニラには15日に出入り制限措置を導入した。幹線道路上などの境界に検問所を設け、警察官らが車などで通行する人の健康状態を調べたり、移動目的を尋ねたりしていた。午後8時から午前5時までの外出も原則禁止し、普段なら買い物客らでごった返すショッピングモールは営業時間を短縮したり、営業する店舗を減らしたりしている。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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