新型コロナ、五大陸に ギリシャやブラジルでも感染
【ジュネーブ=細川倫太郎、ニューヨーク=高橋そら】中国で発生した新型コロナウイルスはアジアから世界に拡大している。26日には南欧ギリシャのほか、南米ブラジルで初めて感染者が見つかり、感染を確認した国・地域は世界の五大陸に及んだ。これまで影響の小さかった米国も警戒を強めている。
感染者を確認した大陸は、アジア・欧州からなるユーラシア、アフリカ、北米、南米、オーストラリアの5つ。世界保健機関(WHO)は感染状況を示した26日発表の日報で、新規感染が直近の24時間で初めて中国以外が中国内を上回ったことを明らかにした。
中国では本土の死者数が27日午前0時(日本時間同1時)時点で2744人となり前日から29人増えた。累計の感染者数は7万8497人で433人増えた。国家衛生健康委員会が発表した。韓国政府も27日午前、新たに334人の感染を確認し、韓国での感染者数が累計1595人となったと発表した。1日の増加数は過去最大だった。
欧州で感染者が最も多いイタリアでは感染者数は26日に400人、死者数は12人に達した。21日に複数の感染者を確認して以降、速いペースで感染が広がった。伊政府は感染者が集中する北部地域の一部で住民の出入りを禁止している。
WHOと欧州連合(EU)の合同チームは現地で、感染状況の把握や対策を急いでいる。26日にローマで記者会見したキリヤキデス欧州委員(保健衛生担当)は「状況は深刻だが、パニックになってはいけない」と呼びかけた。
ウイルスはイタリア国外にも広がり始めた。26日にはギリシャで伊北部の旅行から帰ってきた女性の感染を確認した。スペイン領カナリア諸島でもイタリア人が検査で陽性反応が出て、25日に滞在していたホテルは封鎖に追い込まれた。北アフリカのアルジェリアでもイタリア人の感染者が見つかった。
ノルウェーやパキスタン、旧ソ連のジョージア、旧ユーゴスラビアの北マケドニアでも初の感染者を確認した。ロイター通信などが伝えた。
各国は警戒感を強めている。ロシアは感染者が増えている国からの渡航者を制限する措置を取る。3月1日からロシアと韓国を結ぶ国際便の一部を運航停止にすると発表した。イラン市民へのビザ発行も28日から一時停止し、イタリアへの旅行は中止するよう勧告した。
これまで影響を免れていた南米大陸でも26日、初の感染者が確認された。ブラジルは26日、同国で初となる新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。直前までイタリアに滞在しており、欧州から感染が拡大した可能性がある。
マンデッタ保健相は記者会見で国民に手洗いの徹底などによる予防を訴えた。「熱帯や真夏の気候で新型ウイルスがどのような広がり方をしていくのか注視したい」とも話した。ブラジルでは現在、感染の疑いのある20人について、確定検査を進めているという。
米国ではカリフォルニア州サンフランシスコ市のロンドン・ブリード市長が25日、新型コロナの拡大を懸念して緊急事態宣言を出した。現時点で同市の感染者はゼロだが「国際的な情勢は急速に変わっており、準備を強化する必要がある」と述べた。市の職員を動員し、感染拡大に備えた計画を策定する。
ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は26日、4000万ドル(約44億円)の緊急資金を新型コロナ対策に投じ、必要に応じて臨時職員の雇用や医療機器・資材の購入などに充てると発表した。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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