中国、中東欧と連携確認、16カ国と首脳会議
ギリシャも参加
【北京=羽田野主】中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は12日、クロアチアのドブロブニクで開いた中東欧地域の計16カ国との首脳会議「16+1」に出席した。李氏は広域経済圏構想「一帯一路」を意識してインフラ建設や貿易などを拡大する意向を表明した。ギリシャも参加し中国の影響力の拡大を示した。
「16+1」は会議後に協力指針を発表した。一帯一路や欧州連合(EU)の戦略に従ってデジタル経済を促進する方針を盛り込んだ。イノベーションやエネルギー分野でも協力を進める。
中国国営の中央テレビ(CCTV)によると、李氏は会議で「中国と16カ国の貿易額は21%増え、歴史的に高い水準となった。中国企業が中東欧国家のインフラ整備に参加するのを支援する」と表明した。
クロアチアのプレンコビッチ首相は「数年で中東欧の中国への輸出額は5倍近くに膨らんだ。さらにお互いの貿易を活発にしたい」と応じた。
「16+1」は中国と中東欧16カ国の経済協力を進める枠組みで、2012年に発足した。中東欧は中国と西欧を結ぶ要衝の地にあるとして、中国が積極的に取り込みに動いている。来年は中国でギリシャを含む「17+1」として首脳会議を開く予定だ。
李氏はこれに先立ち、ブリュッセルも訪れた。9日には欧州連合(EU)のトゥスク大統領やユンケル欧州委員長と会談し、20年までに投資協定を妥結する方針で合意した。
3月に習近平(シー・ジンピン)国家主席が欧州3カ国を訪問した際には、主要7カ国(G7)で初めてとなるイタリアの一帯一路への参加を取り付けた。習指導部トップ2による異例の欧州訪問となった。米中通商摩擦の影響で中国は新たな市場の開拓先として欧州や日本などとの関係改善を急いでいる。