風邪症状なら?イベント中止は? 新型コロナ対策
政府が基本方針
国内での新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府は25日、対策の基本方針を公表した。風邪の症状がある人には休暇取得を呼びかけ、イベント開催は要否の検討を求めた。今後、感染者が継続的に増える地域では重症者に焦点を当てた対策に切り替える。判断基準に明確さを欠く部分も多く、企業や自治体は対応を急いでいる。
政府は基本方針の中で、社員に「発熱などの風邪症状」があった場合は休暇の取得を勧奨するよう企業に呼びかけた。体温などの具体的基準はなく、せきや微熱でも休むべきかは本人や企業の判断となる。
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「ロイヤルホスト」などを展開するロイヤルホールディングスでは、症状の出た従業員の出勤停止などの対応フローを作成した。オフィスでは時差出勤、テレワークを推奨しており、店舗でも感染予防を強化するという。
社内で感染者が出た場合の対応も明確ではなく、NTTデータは協力会社社員の感染が判明した後、一時ビルごと約700人を自宅勤務とする対応を取った。
政府の基本方針は、イベント開催などについても「感染リスク」と「開催の必要性」のバランスで判断するよう求めている。感染リスクを企業が責任を持って判断するのは難しく、リスクを回避するために開催を中止する動きが広がっている。
よみうりランドは営業継続を前提として消毒液の設置、発熱した従業員の勤務停止などの対策を取っているが「これで十分か不十分かの判断が難しい」としている。
保健所は住民からの相談対応に追われ、都内の自治体職員は「担当外の保健師も対応にあたっている」と話す。感染者が見つかれば周辺の濃厚接触者の調査も必要となり、日々の業務の継続が難しくなっているという。
基本方針によると、今後、患者が継続的に増える地域では濃厚接触者の調査を縮小し、患者と一定の関わりがあった人には不要不急の外出をしないよう広く呼びかける。対象は事案ごとに自治体が判断する見込みだ。
現在、感染症に対応できる病床の多くは集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者などで占められている。患者が大幅に増えた地域では重症者の入院治療が優先され、軽症者は原則としてウイルス検査を行わずに自宅で療養してもらう。
高市早苗総務相は都道府県と公立病院を運営する市町村に対し、公立病院での重症者の優先的な受け入れや病床確保などを要請した。
自宅療養を求められた軽症者の不安にどう応えるのか、新型肺炎以外の患者に対する医療をどう維持するのか、自治体は難しい課題に直面することになる。
関係者の感染によって病院の外来診療の休止、学校の休校、老人保健施設の介護サービス停止など、地域社会には様々な影響が出ている。千葉県内の自治体の担当者は「政府の基本方針は全体的に具体性がなく、自治体で重い判断をしていく必要がある」と話す。
全国知事会は25日、自治体と連携した効果的な施策を政府に求める緊急声明を発表した。重症者の受け入れ態勢強化などへの支援も要請した。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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