東証、市場区分の見直しに着手 懇談会を設置へ
日本取引所グループ(JPX)傘下の東京証券取引所は29日、上場市場のあり方を検討する有識者懇談会を設置すると発表した。東証第1部、第2部、マザーズ、ジャスダックと一般投資家向けの4つの市場の再編などを検討する見通し。東証と大阪証券取引所(現大阪取引所)が2013年7月に現物株市場を統合して5年がたち、投資家が使いやすい新たな市場の区分を模索する。
学習院大学大学院の神田秀樹教授を座長とした「市場構造の在り方等に関する懇談会」を設置する。日本取引所の清田瞭最高経営責任者(CEO)は同日の会見で、初会合や結論の時期などは未定としつつも、「時間をかけて議論すべきではない」と早期に結論を出したい考えを示した。懇談会は東証の諮問機関である上場制度整備懇談会とは別で、4市場のあり方を検討する会合として新たに設置する。
東証では新興企業の上場先としてマザーズとジャスダックの2市場が混在している。中型株が多い第2部との区別もわかりにくいとの指摘もある。清田CEOは「4市場は多い」と述べ、市場を集約させる意向をにじませた。
東証1部のあり方も焦点になる。1部の上場企業数は2000社超と、他の3市場の合計(約1500社)よりも多い。清田CEOは「1部の上場基準が変わらないなか、個別企業の企業規模などがこれまでと変わってきている」と強調。上場基準を厳しくするなどして、1部の企業数を調整する可能性がある。
実際に市場再編が実現するには時間がかかりそうだ。清田CEOは「現在の市場区分をもとにした株価指数やファンドが多く存在する」と指摘した。
懇談会で上場市場のあり方の結論を得たとしても「(再編などは)大きな影響があるので、実現までの時間は相当先に見ておく必要がある」とも語った。
13年に現物株市場が統合した際には、投資家や上場企業の混乱を防ぐためにそれぞれの市場を維持することを決めた経緯がある。その後、市場区分の見直しは、日本取引所の重点課題に位置づけられてきた。
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