デフレ銘柄に明暗 ユニクロ国内好調、しまむら減益
カジュアル衣料品や外食などの分野で代表的なデフレ銘柄の業績に明暗が出始めている。ヒット商品の乏しいカジュアル衣料品大手のしまむらの2018年2月期の連結売上高は9年ぶりの減収となる一方、機能性を高めた商品が好調な「ユニクロ」の国内販売は好調を維持する。節約志向が続くなか、低価格で付加価値を提供できる企業が消費者をとらえている。
「危機的な減収だった」。しまむらの北島常好社長は2日、都内で開いた決算記者会見で悔しさをにじませた。18年2月期の連結売上高(営業収入を含む)は前の期から微減の5661億円、純利益は10%減の297億円。9年ぶりの減収、3年ぶりの減益だった。
売上高の約8割を占める「ファッションセンターしまむら」でファッション性や機能性を高めたヒット商品が不足するなど、既存店売上高が3%減少したことが響いた。今期は伸縮性や通気性を高めたパンツや、肌触りの良いシャツなど、価格以外の価値の提供で既存店をてこ入れし、売上高は前期比4%増の5885億円、純利益は18%増の350億円を目指す。
一方、ファーストリテイリングの「ユニクロ」の販売は好調に推移する。17年9月~18年2月の国内既存店売上高は前年同期比8.4%増。比較的単価の高いダウンやカシミヤセーターなどに人気が集まったことが寄与した。海外デザイナーと組んだ話題性のある商品も積極的に投入しているほか、速乾性などを高めた商品力も一段と高めていることが支持を集める。
17年に値上げに踏み切った外食企業でも明暗がわかれている。17年9月から生ビールやギョーザを値上げしたハイデイ日高の中華料理店「日高屋」は、9月以降の既存店売上高が天候不順の影響で10月を除いて2月まで前年を上回り続ける。「チゲ味噌ラーメン」などビールに合う期間限定メニューを相次いで投入。値上げしてもサラリーマンの「ちょい飲み」需要をとらえ客数の増加につなげてきた。
一方、ちゃんぽん店「リンガーハット」は17年8月までに全国で20~30円を値上げしてきたが、9月から既存店売上高が前年を下回る月が目立ってきた。野菜を豊富に使うメニューなどで健康志向の消費者の需要はとらえているものの、幅広い客層を掘り起こしにくいことが響いているようだ。
景気は回復局面にあるとされるが、消費者に根付いた低価格志向は変わっていない。しまむらの北島社長は「先行きに対する不安感は払拭されておらず消費者の財布のひもは固い」と見る。価格以外の価値の提供が一段と求められている。