妊婦加算を廃止へ 厚労省、妊婦に限らぬ仕組みを検討
厚生労働省は妊婦が医療機関で診療を受けると自己負担が上乗せされる「妊婦加算」を今年度で廃止する方針だ。2018年度に始めたが、妊娠に関係ない診療でも負担増となる仕組みが批判され、19年1月に凍結していた。妊婦に限らず、医療機関間で患者の情報を共有して丁寧な診療につなげる場合に医療費を上乗せする仕組みを検討している。
加藤勝信厚労相は6日の閣議後の記者会見で「結論を得ている状況ではないが、それ(廃止)を含めて検討している」と述べた。厚労省は11日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)の総会に提案し、了承されることをめざす。
妊婦加算は妊娠や胎児に配慮した丁寧な診療を医療機関に促す目的で始まった。ただ、例えば、妊娠と関係のないコンタクトレンズの処方でも患者負担が増える仕組みだった。「妊婦税」との批判を浴び、厚労省は18年度の開始から1年もたたないうちに凍結した。
妊婦加算に代わる新たな仕組みとして、妊婦に限らず患者の情報連携を進めた医療機関を評価する仕組みを検討する。医療費が上乗せされるのは患者の同意が得られた場合に限る考えだ。このほか産婦人科ではない医師への研修なども進める。