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島根原発稼働また後ずれ 中国電、安全対策工事1年遅れ

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島根原子力発電所2、3号機(松江市)の稼働に向けたスケジュールが後ずれしそうだ。中国電力は31日、原発の安全対策工事の完了時期をそれぞれ1年遅らせ、審査が先行する2号機については「2020年度のできるだけ早い時期」に見直した。追加対策工事が完了するまで再稼働できないため、厳しい経営環境が当面続くことになる。

「耐震工事など、審査の過程で必要になった対策を増やさないといけない」。31日の記者会見で清水希茂社長はこう話した。中国電は原子力発電所内での耐震性が低い設備の補強や、防火対策の追加などが必要になったと説明する。安全対策工事の総費用も500億円増やし、計5500億円の見通しに引き上げた。対策完了時期を見直すのは昨年10月以来で7回目だ。

同日発表した19年4~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比28倍の854億円だった。原子力発電所の工事に備えた引当金を取り崩したことが寄与し、会計上は大幅な増益となった。

一方、販売電力量は減少が続く。19年4~9月期の販売電力量は前年同期比7%減の246億キロワット時だった。同社の営業エリアでは人口減少や電力小売り自由化による競争で、大幅な電力需要の拡大は見込めないことが重荷となっている。売上高の大幅な拡大が見込めないだけに、コストの削減が利益確保のカギとなる。

温暖化ガスの排出が多い石炭火力発電所への厳しい視線をかわし、発電コストの効率化につなげるためにも、同社は原発の再稼働を優先度の高い経営課題に据える。審査が順調に進み、再稼働にこぎ着けられれば、22年3月期の原子力利用率は7割前後とみる見方が市場では多く、年間のコスト削減効果は450億円前後となる。

ただ、ここにきて追加の安全対策工事が必要になったことで、再稼働時期が足元の市場予想よりも遅れる見通しとなりそうだ。「これ以上ずれ込むと、減配の可能性も視野に入ってくる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荻野零児シニアアナリスト)との指摘もある。

清水社長は「安定配当が基本的な方針」としつつも「ベースとなる利益が出なければ、多少考えていく必要はある」と話した。安定配当が下支えしていただけに、今後の株価の行方にも注目が集まりそうだ。

関西電力役員らが福井県高浜町の元助役(今年3月死去)から多額の金品を受領した問題に関連し、清水社長はコンプライアンス見直しについて「電気事業連合会の中でも新たな委員会を立ち上げ、有識者も含めて議論している。様々な場で出てきた内容について取り入れるべきものは取り入れていく」と話した。

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