600メートル手前で信号見えず 踏切事故、京急の説明一転
横浜市神奈川区の京急線の踏切で快特電車と大型トラックが衝突した事故で、運転士が踏切内の異常を知らせる発光信号機を、600メートル手前から目視で確認できないことが12日、京浜急行電鉄への取材で分かった。京急は当初、同地点から目視できると説明していた。
運転士が神奈川県警の調べに「通常のブレーキの後に非常ブレーキをかけた」と説明したことが同日、関係者への取材で判明。法令違反ではないが、停車が遅れた可能性がある。
京急によると、信号機は現場の踏切から10メートル、130メートル、340メートルの3カ所。事故後、340メートルの信号機は600メートルの位置から目視できると説明していたが、その後の調査でこの地点からはカーブがあるため、確認できないことが分かった。今後、信号の設置箇所を増やすなどの再発防止策を講じる方針だ。
京急は時速120キロで走行する快特電車が非常ブレーキをかけてから止まるまでの距離を約520メートルと定めている。信号は約520メートル手前からは確認できるとしている。
国土交通省関東運輸局によると、国交省の省令は在来線の制動距離を600メートルとしていたが、2002年に廃止。新たな省令では距離は定められていないが、省令の解釈を記した基準では同様の記述がある。
事故は9月5日、神奈川新町―仲木戸間の踏切で発生。立ち往生したトラックと快特電車が衝突し、トラックの運転手(67)が死亡、乗客30人以上が負傷した。神奈川県警は自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで捜査している。
〔共同〕