電力10社の19年4~9月期、8社が最終増益 燃料費低下で採算改善
電力大手10社の2019年4~9月期連結決算が31日に出そろい、8社が最終増益となった。火力発電の燃料価格が下がった効果で前年同期に比べ採算が大幅に改善。電力小売りの競争激化による販売電力量の減少を補った。減価償却方法の変更も利益を押し上げた。
同日発表した中部電の純利益は前年同期比2倍の1361億円だった。燃料価格の低下が利益を押し上げた。東京電力ホールディングス(HD)と折半出資するJERA(東京・中央)に火力発電事業を承継したことに伴う資産評価益も計上した。東電HDも同様の資産評価益が膨らみ、9月の大型台風被害に伴う118億円の特別損失を吸収した。
四国電力の純利益は3倍。18年10月に原発の伊方発電所3号機が再稼働。販売電力量が増え、火力の燃料費は減った。
関西電力や北陸電力など4社では今期から減価償却方法を定率法から定額法に変更。償却負担が減った。北陸電は石炭火力発電所のトラブルがコスト増を招いたが、償却費の減少を主因に最終増益を確保した。中国電力は償却変更に伴う特別利益で大幅増益となった。
減益だった九州電力は余った液化天然ガス(LNG)の売却損が出た。北海道電力は渇水で低コストの水力発電の稼働が低下。両社とも20年3月期業績予想を下方修正した。
東電HDは通期業績予想を未定とした。福島第1原子力発電所の溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出し費用が確定していないのが理由だ。
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