英議会、EU離脱法の迅速審議否決 10月末離脱厳しく
【ロンドン=佐竹実】英議会下院は22日、英政府が欧州連合(EU)離脱関連法案を早期に成立させるために提出した「議事進行動議」を否決した。重要法案について拙速な議論を避けるべきだと考える議員が反対に回った。10月末の離脱を掲げるジョンソン政権は24日までに関連法案を成立させて離脱協定案の承認を得ることを目指したが、厳しい状況となった。
ジョンソン首相は結果を受け、「離脱関連法は保留する」と述べた。EU側が離脱期間の延期についてどう判断するかを待って、再審議するか廃案とするかを決める。ジョンソン氏は「合意なき離脱への備えを加速しなくてはならない」とも述べ、10月末離脱にこだわる姿勢も示した。
一方で、英政府は法律に基づきEUに離脱期限の延期を申請している。EUのトゥスク大統領は22日の英議会の決定を受けてツイッターに投稿し、「合意なき離脱を避けるため、EU加盟27カ国に英国の申請を受け入れるよう呼びかける」との考えを示した。
22日の英下院では、EU離脱関連法案の大枠での賛否も審議され、賛成329、反対299で可決された。関連法を成立させれば合意なき離脱を避けられるとの見方もある。英BBCによると、最大野党・労働党の19人の議員が賛成に回った。
だが、続いて行われた議事進行動議は308対322の僅差で否決された。通常なら数週間かかる関連法案の審議を3日で終わらせることについて異論が噴出したためだ。与党・保守党を除名されたハモンド前財務相らが反対票を投じた。
英国がEUから離脱するには、英議会が離脱協定案を承認する必要がある。19日の議会で、関連法が成立するまで離脱協定案の採決を先送りする動議が可決されたため、英政府はスピード審議の動議を提出していた。
ジョンソン首相は10月末離脱にこだわるが、動議が否決されたことで窮地に立たされた。首相官邸の報道官は22日、「この議会では結論が出せない」と述べ、解散総選挙も視野に入れていることをにじませた。