火山噴火「予測前提ではない」 原子力規制委、対策指針に明記へ
原子力規制委員会は16日の定例会合で、火山噴火に備えて原子力発電所の安全対策を電力会社に求める指針の見直し案をまとめた。噴火の正確な時期や規模は事前に分からないとし、「予測を前提としない」と明記する。原発を巡る複数の訴訟で指針の分かりにくさが指摘されていた。
見直すのは「火山影響評価ガイド」。噴火について「火山学の知見に照らして現在の火山の状態を評価する」との記載を盛り込む。一般から意見を募集したうえで、年内に改正する。
ガイドでは原発から半径160キロメートル圏内にあり、約258万年前以降に噴火した火山の影響評価を求めている。
規制委は今回の見直しを、同ガイドの趣旨や考え方を分かりやすくするためと説明している。「噴火は予測できる」との誤解を与えないようにするのが目的で、評価内容は変えない。
ガイドは過去の訴訟で、噴火をある程度予測できるかのように読める点などを「不合理」と指摘された。6月に原告敗訴の判決が出た九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の設置許可取り消しを求めた訴訟でも、福岡地裁が「不合理でないと立証されたかどうか疑いが残る」と指摘した。
規制委の更田豊志委員長は7月の定例会合で「読みにくさが指摘されており、改善の余地がある」と述べ、原子力規制庁に見直しの検討を指示していた。