新幹線で初「重大インシデント」 JR西、台車に亀裂
東海道・山陽新幹線で博多発東京行きののぞみ34号(16両編成)が11日に走行中、車両から異臭や異常音がして、名古屋駅で運休となるトラブルがあった。台車に亀裂があるのが見つかり、運輸安全委員会は12日、深刻な事故につながる可能性がある重大インシデントと認定。事故調査官3人を現地に派遣し、原因を調べる。
安全委の前身の事故調査委員会が2001年に発足して以来、新幹線のトラブルが重大インシデントと認定されたのは初めて。
車両を保有するJR西日本などによると、のぞみ34号は11日午後1時33分に博多駅を出発。先頭を16号車、最後部を1号車として東京駅に向かった。同1時50分ごろ、小倉駅を発車した際、乗員が焦げたような臭いがすることに気付いた。岡山駅から車両の保守担当の社員が乗車し、うなるような音を耳にしたが、走行に支障はないとして、運行を続けたという。
同4時20分ごろに京都駅付近で車掌が異臭を確認。同5時すぎに名古屋駅で車両の床下を点検したところ、油漏れが見つかったため、運行を取りやめた。約1000人の乗客は後続の列車に乗り換えた。
11日夜に13号車の台車の側面に亀裂が入っているのが発見されたほか、モーターの回転を車輪に伝える「継手」が変色しているのが見つかった。
JR西から報告を受けた運輸安全委員会は列車の運転の安全に支障を及ぼす故障や損傷が生じた「車両障害」に当たるとして、重大インシデントに認定した。同社は亀裂と異臭、異常音との関係などを詳しく調べる。