米国務省高官「日本もイラン非難を」 サウジ攻撃巡り
【ニューヨーク=中村亮】米国務省のイラン担当特別代表ブライアン・フック氏は24日、日本経済新聞のインタビューに応じた。サウジアラビアの石油施設攻撃について、日本や中国などのアジア諸国に対し「名指しでイランを非難するよう促す」と強調した。英独仏がイランの責任を断定したのに続いて、アジアにも協調を迫りイランに対する国際包囲網を構築する狙いだ。
フック氏はサウジ攻撃について「イランが関与したのは明白だ」と改めて主張。「(いま)イランに立ち向かわなければ中東地域や域外で攻撃を繰り返す可能性を高めてしまう」と懸念を示した。「外交的にイランを孤立させることが中東の緊張緩和に向けて最も重要だ」と訴えて、アジア諸国に行動を促した。
アジア諸国は原油調達で中東に依存している。イランを非難して緊張がさらに高まれば原油調達に支障が生じる懸念もあり、同国の関与を主張する米国と距離を置く国が目立つ。日本は米国とイランの緊張緩和に向けた橋渡し役を担っている。
中東のホルムズ海峡で民間船舶の安全を守る有志連合をめぐっては「日本や韓国の参加が望ましい」と語った。「アジアにとって航行の自由を守り、世界最大の石油施設に対する追加攻撃を防ぐことはアジアにとって強力な利益になる」と訴えて参加を促した。米国主導の有志連合にアジア諸国の参加は少なく、日本も態度を保留している。
フック氏はイラン制裁の履行を強化していく考えも示した。中国が海上での瀬取りや第三国を通じてイラン産原油を不正に輸入しているとの疑惑について「そうした活動の全てをとても注意深く監視している」と説明。「中国に向かう全てのタンカーの動きを追跡している」と強調し、制裁逃れに厳しく対処する方針を表明した。
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