原油高、上海に波及 値幅制限まで上昇
アジア株の値動きは小幅
【上海=張勇祥、シンガポール=中野貴司】サウジアラビアの石油施設への攻撃を契機にした原油価格の上昇は中国・上海にも波及した。16日午前の原油先物市場では11月物が一時、前週末比8%高い1バレル477.50元と、値幅制限いっぱいまで買われた。ロンドン、ニューヨーク市場の上昇率が2桁になったことを受け、「原油の需給が悪化するリスクが高まった」(上海の先物会社、東亜期貨)という。
上海原油はロンドンの北海ブレント、ニューヨークのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)と同様、4カ月ぶりの高値を付けた。生産量の回復には一定の時間がかかるとの見方が強まり、原油先物の上昇圧力につながった。
株価指数の上海総合指数は小幅高で取引が始まった後、前週末終値を挟んで一進一退を続けている。時価総額が大きく、指数への影響が強い中国石油天然気(ペトロチャイナ)、中国石油化工(シノペック)が高く、相場全体の下落を抑えている。一方、「中国は原油の輸入が多く、減速傾向の景気のさらなる重荷になる」(国都証券)と懸念もある。
東南アジア、オセアニアの株式市場は下落して始まった。シンガポールやオーストラリアの株価指数は一時、前週末比0・3~0・4%程度安い水準となった。
シンガポールでは欧米市場での原油先物価格の高騰を受け、石油掘削設備を手がけるケッペル・コーポレーションの株価が一時、前週末比で約2%の上昇となった。一方、燃料価格上昇の懸念からシンガポール航空の株価は下落基調で推移している。
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