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市民ランナーの生きがい、「習う」から「支える」へ

ランニングインストラクター 斉藤太郎

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私が理事長を務めるニッポンランナーズ。設立の起源は女子実業団チーム、リクルートランニングクラブの2001年9月30日の休部まで遡ります。休部の理由は存在意義。「『リクルート』という社名を胸につけて走ることにどれだけの存在意義があるのか?」と会社に問われたという金哲彦監督の説明は忘れません。その先の選択肢がいくつかあった中で、新しいスポンサー企業を探せたとしても、同じことが繰り返されるかもしれないと判断しました。

リクルートが拠点としていた千葉県佐倉市のランニング環境は素晴らしく、応援してくださっている方々がいる。ここに根を下ろし、トップランナーはもちろん、健康志向や楽しみ重視の方々までも含めて裾野を広げた、自立した地域クラブを育てようという構想に至りました。

新しいクラブ構想は、前例がないだけに理解されることは少なかったです。友人には「好きな時間に走れるのに、あえて会費を払って習う人がいるの?」と厳しい意見を言われたほどです。会費を払ってランニングを習うことが当たり前の時代になった契機は、07年の第1回東京マラソンだといわれています。当時は皇居を走る人もまばらでした。

専門的ノウハウを持ったコーチが、市民ランナーの方々へ継続した指導をするという前例のない流れは少なからず注目を集めました。私たちコーチは、実業団時代は一社員として会社から給料をいただき、選手を指導していました。そこから、習いたいと集まるメンバーから会費をいただいて指導するコーチ業へと変わったのです。

ところで、私は幼少期に8年間、剣道の町道場に通っていました。そこでは「元気よく挨拶・お互いに真剣に学ぶ」「道具を大切にし、整理整頓に努める」「先生、先輩を敬う」ということを重んじていました。

子ども目線ながらに肌身で感じた道場のあり方は、今のクラブ運営に強く影響を与えています。楽しみや交流は、あくまで「正しい走り方を学ぶ道場」といったイズムが根底にあってのものだと思っています。様々な趣向のランニングイベントがありますが、お互いが居心地良く過ごすことができ、なおかつクラブが持続していくためには、ゆるい方向に流れすぎないこと。分別やしまりのある精神が根底にあるべきだと考えています。

非日常的行事増え、仲間との絆深まる

合宿やマラニック(マラソン+ピクニック)など非日常的イベントを計画すると、いつもと違った形で仲間と時間をともにし、絆が深まります。こうしたクラブ内イベント以外にも、みんなで力を合わせて乗り越えるような非日常的行事の依頼が、ある頃から増えてきました。そして、これらがクラブを育ててくれたと思っています。

代表的なものは、地元の「佐倉朝日健康マラソン」での公式ペースランナーや給水所のサポート。大きなランニング教室もありました。コーチとメンバーが力を合わせ、クラブ一丸となってのぞむ。そんなイベントをいくつも経験しました。やがてその中から中心的なメンバーが現れるようになりました。年々経験を重ねて、新しく加わるメンバーに経験を伝えたり、メンバーを統率してくださったりという次元に発展していきました。

現在、ペースランナー任務は佐倉朝日健康マラソン、館山若潮マラソン、ちばアクアラインマラソンの3大会で担当しています。このほかには、障害者へのランニング教室、震災復興リレーマラソンでの伴走。珍しいものでは、ランニングに関わる研究へのアンケート協力、「熱中症アラートシステム開発」関連のモニターには40人で協力しています。

ドラマの中のランニング大会ロケではランナー約40人を派遣しました。クラブ内では週2回活動があるシルバー体操教室で、会員に受付や指導の補助を手伝ってもらっています。定期の活動のランニング練習とは別に、様々な機会にメンバーの方が関わることでクラブの絆が深まり、所属するクラブへの誇りにつながっていると思っています。

ランナー生活継続、違った喜び感じ

レースに初めて出場し、「応援される側になれた」と感動される方が多くいらっしゃいます。そこからランナー生活を続けていくと、今度は別の喜びが訪れるようになります。ランナーとしての経験や視点を生かして他者の快走をサポートし、人を笑顔にするようなイベントに関わる。クラブはそういう機会を提供できる場所でもあり、そこで得られたやりがいや達成感はそれぞれの貴重な財産となっています。自身の記録向上のみを目的に入会された方が、こうした機会に関わったことで競技観が大きく変わったということもありました。

クラブ内外のイベントへの関わりを重ねながら、「教える側」「習う側」の枠を越えて中心的メンバーが生まれ、みなさんに支えられてニッポンランナーズは今に至っています。今後も発展的に継続していくにあたっては、新しいメンバーが入りやすいクラブであることが大切です。気の合う者同士、固定されたメンバーだけで年を重ねていくことには気をつけなくてはいけません。おそらくは第1次ランニングブームといわれる1980年代に発足した各地の「走友会」の関係者は、そうした危機感を持たれているのではないでしょうか。

メンバーの固定化、高齢化を防ぐには、ご家族で世代をまたいでクラブに関わっていただくこと。そして、人が循環するのを待つことです。学生時代にとことん練習して社会人になった人が、数年たってメンバーやコーチとしてクラブに戻ってきてくれるケースがあります。出産後、育児が落ち着いて戻ってきてくれたお母さんコーチやメンバーもいます。人生のその時々で優先すべきことはやってきます。一度はランニングから離れなければならない時期があるとして、再び「走りたい」と思ったとき、足を運べば仲間たちが変わらず元気に活動しているクラブであり続けたい。そんな長い目で、これからもクラブを運営していきたいと思っています。

 さいとう・たろう
 1974年生まれ。国学院久我山高―早大。リクルートRCコーチ時代にシドニー五輪代表選手を指導。2002年からNPO法人ニッポンランナーズ(千葉県佐倉市)ヘッドコーチ、19年理事長に就任。走り方、歩き方、ストレッチ法など体の動きのツボを押さえたうえでの指導に定評がある。300人を超える会員を指導するかたわら、国際サッカー連盟(FIFA)ランニングインストラクターとして、各国のレフェリーにも走り方を講習している。「骨盤、肩甲骨、姿勢」の3要素を重視しており、その頭の文字をとった「こけし走り」を提唱。著書に「こけし走り」(池田書店)、「42.195キロ トレーニング編」(フリースペース)、「みんなのマラソン練習365」(ベースボール・マガジン社)、「ランニングと栄養の科学」(新星出版社)など。

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