インド、「TikTok」など禁止 中国との国境係争背景か
インド政府は29日、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」など59のアプリの使用を禁止すると発表した。中国企業が提供するアプリが主体で、中印国境の係争地域での衝突が影響したとみられる。
インド電子・情報技術省は声明で「インドの主権や国防、社会的秩序に損害を与える59アプリを禁じる」と説明した。アプリが「利用者のデータを不正に盗み、インド国外のサーバーに保存しているとの多くの苦情を受けた」と述べた。
対象は中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営するティックトックのほか、ネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」、ネット通販のアリババ集団系の会社が開発するウェブブラウザーなど。いつから禁止するのかは不明だ。
インドと中国は国境近くの係争地で対立が続いている。5月に印北部ラダック地方でにらみ合いが始まり、6月15日には両国軍が衝突してインド側で20人の死者が出た。両軍は22日に事態の沈静化に取り組むことで一致したが、インド政府は自動車や通信などの分野で中国企業を締め出す制裁措置を検討するなど経済の摩擦が強まっている。