核開発の凍結を要求か 対北朝鮮で米政権検討 米紙報道
【ワシントン=永沢毅】米紙ニューヨーク・タイムズは北朝鮮が非核化に向けて取り組む第1段階の措置として、核開発を凍結させる案がトランプ政権内で浮上していると伝えた。3回目の米朝首脳会談の数週間前からこの案が検討されているといい、同紙は「現状維持であり、北朝鮮を核保有国として暗黙のうちに認めることになる」と指摘した。
トランプ政権が求めている完全な非核化は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が応じる構えをみせていない。このため、新たなアプローチとしてこの案が検討されているという。
ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は1日、報道内容について「議論したことも聞いたこともない」とツイッターで否定した。
2月末に開かれた2回目の米朝首脳会談で、金正恩氏は核開発の主力拠点である北西部の寧辺(ニョンビョン)の核施設を廃棄する見返りに制裁の事実上の全面解除を提案した。同紙によると、トランプ政権はこの提案をもとに寧辺の核施設の定義を大きく広げるよう求めることも検討しているという。
ただ、米政府当局者によると、北朝鮮の交渉者は寧辺の核施設が何を意味するのかは「金正恩氏しか分からない」とかつて主張したとされ、この案に北朝鮮が同意するかは分からないという。寧辺は広範囲にわたって300以上の施設が点在しており、全容把握は容易ではない。
寧辺の核施設の凍結はクリントン政権やブッシュ(子)政権下でも合意し、実行に移されたことがある。ただ、北朝鮮の核開発を食い止めるには至らなかった。
トランプ米大統領は6月30日、韓国と北朝鮮を分け隔てる非武装地帯(DMZ)にある板門店で金正恩氏と会談した。会談後、トランプ氏は非核化に関する実務者協議を今後2、3週間で再開することで合意したと語った。